2014年5月19日月曜日

【図書紹介】 森常治著 『台湾の森於菟』

 仙台台湾朋友会です。しばらくは情報発信が活動の中心になりますが、ひとつの試みとして、台湾関係の書籍について紹介してみようと思います。

 今日は、『台湾の森於菟』です。

 みなさんは森鴎外はご存知だと思います。鴎外も台湾に縁のある人物でしたが、この本は、鴎外の孫である著者(常治)が、鴎外の息子である於菟(つまり著者の父)の台湾での様子を回想して書いたものです。常治の視点から森一家の台湾での生活がいきいきと描かれていて、当時の台湾の社会の様子を知るにはよい本です。

 常治が家族での行楽の様子を回想しているシーンがあるので、抜粋します。


 楽しみといえば、士林の先にある大屯山系の南端にある北投温泉、そしてそこからバス道路を登った、四百メートルほどの地点にある草山温泉への行楽であった。北投や草山にはエリート階級や会社が建てた保養所や別荘が多くあり、家族と温泉を楽しむほかに、蝶をはじめとするたとえば夏休みの宿題のための、昆虫採集の目的地ともなっていた。父、於菟と母は夏休みになると、草山温泉に一週間あまりの滞在をし、子供たちを楽しませた。また、北投の硫黄泉は箱根のそれをはるかにしのぐものであった、という記憶がある。
  草山温泉は七星山(シチセイザン)を最高峰とする大屯山系にあった。せいぜい千メートルをわずかに越える程度の山々であったが、台北中南部から始まる高山の峰々にくらべると、安全で、家族の散策やリクリエーションには理想的な山容で、昆虫採集にはまさにもってこいの場所であった。夏は結構涼しく、避暑地としても理想的であった。だが油断できない山もあった。それはサボウ山と呼ばれ、帽子のかたちをした六百メートルほどの山だった。
 

 北投温泉や陽明山へ行ったことがある人なら、この文章を読んで情景がありありと思い浮かぶのではないでしょうか。

 次回は、常治が家族で過ごした北投・草山での夏休みをブログで追体験してみようと思います。

 それでは皆様、ごきげんよう。 大家再見!

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